先に紹介した「引張試験」は試験片にゆっくりとした静荷重を加えていく実験でした。しかし、実際には材料に瞬間的な大き な力、すなわち「衝撃」力がかかる場合も多くあります。最近、CMなどでもよく見られる自動車の衝突実験なども、衝撃力を測定する実験です。ここでは、代表的な衝撃試験であるシャルピー衝撃試験を紹介します。

シャルピー衝撃試験
 この試験は、試験機のハンマーにより試験片を切断し、このときの衝撃値を求めることにより、金属の粘り強さを測定します。試験片には、縦横10mmの棒にフライスカッターで小さな溝を入れたシャルピー試験片を用います。

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1 試験片を所定の位置に設置して、ハンマを所定の角度まで持ち上げる。

2 指針を密着させ、支持レバーを押して、ハンマを自由落下させる。

3 指針により、振り上がりの高さを求め、これから衝撃値を求める。
(例えば、120°の高さから振り下ろしたハンマーが、試験片に衝突して80°の高さまで振り上がったとすれば、この差である40°分の位置エネルギーが材料に吸収されて、その破断のためのエネルギーとして用いられたとする。)

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もう一つ、衝撃力を利用した面白いものを紹介しましょう。写真はコーヒー缶ですが、表面にでこぼこした模様がついています。(少し暗くて見にくいかもしれないが)これは、いちいち形に押しつけて加工したのではなく、円筒形の筒に上から衝撃荷重を加えただけで加工されているのです。また、なぜこのような模様 がつけられているのかといえば、持ちやすいということだけでなく、強度が向上するためもとの材料を薄くすることができるというメリットがあるのです。炭酸飲料やビールは飲み物を入れる際に缶の内側から圧力を加えているため、缶を開けるまでの強度は缶がある程度薄くてもよいのですが、コーヒー缶は成分の関係上そのようなことができないのだそうです。そのため、コーヒー缶には比較的厚くて、小さなものが用いられています。ある会社はこの模様のついた缶の導入で、缶の厚さを薄くすることができ、大幅な材料の節約になったということです。今後ますますこの模様缶が増えるかもしれません。

 


投稿者:門田和雄 (東京工業大学工学部付属工業高校)

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