森政弘:「ロボット考学と人間-未来のためのロボット工学-」,オーム社(2014)

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ロボット博士で有名な森政弘先生の最新著作です。本の帯にある「ロボット工学者よ,哲学を持て」
というコピーが,本書で先生が後進に伝えたい最も核心の部分だと思います。
序章に以下のように書かれています。
pp8-9
「人生のどの分野でもそうだが,蘊奥(うんのう)を極め達人の域に達すると,矢の方向が,自分から相手に向かうのではなく,相手から自分の方に向かってくるようになると言われている。
(中略)
要するに,矢が自分のほうから相手に向かうようでは新米に域を出ず,矢が相手から自分の方へ向かうようになってこそ達人と言えるのだ。
そこでロボットにこのことを当てはめてみれば,矢がロボットから人間に向かうのが良いことになる。つまり陣減がロボットを作るという次元を越えて,人間の方がロボットによって育てられるという状況である。ロボットを人間の奴隷と見なすようでは次元が低い。ロボットは人の師とすできである。
ロボットコンテストは,この状況を作る出すことに成功したのだった。」
本書は,ロボット工学者だけでなく,技術教育関係者にも同様に訴えかけることでしょう。ぜひご一読を勧めます。

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