計算尺はフランスのA.Mannheimが1850年に、乗除、二乗・平方根などが計算できる道具を発明したとされます。日本ではこのマンハイム尺をもとに逸見(へんみ)製作所が生産を行いました。

計算尺の計算の原理は、対数を使ったもので、log10(A×B)=log10A+log10B のように、かけ算が対数では足し算になることを応用したものです。割り算は引き算になります。また、平方根や二乗は、log10A2=2×log10A のように目盛りを1/2や2倍にすればよいのです。

私が高校生の頃は電卓はなく、実験の結果整理には計算尺をよく使いました。図1は私が高校生の時に使っていた計算尺です。長くかさばるので、円形の製品もあります(図2)。
今回授業で扱うにあたって、持ち運びに便利な円形の計算尺を考えてみました。360度を対数目盛で分割すればよいのです。
図1 図2

《材料》
・ケント紙A4版、
・PET樹脂板(16×60mm厚さ0.5mm)(私が使ったものはアクリルサンデー社の「PG-1 透明」というもの、0.3~0.5mmくらいの透明樹脂ならなんでも大丈夫です)、
図3

割ピン(NO.6)(全長20mm)、
図4

インクジェットプリンタ用透明フィルムラベルシート(A-one社の28791等)

《製作》
(1) ここ から元図(PDF)をダウンロードして印刷してください。(できればレーザープリンタで。インクジェットなら高品質で印刷して下さい)

(2)カッターで円形に切り抜きます。(カッターはデザインナイフといわれるものが使いやすい。例えばNTカッターD-400など)

(3)中心部も慎重に丸く切り抜いてください。

(4)樹脂板に赤線を印刷したフィルムをはりつけます。(目盛り用の赤線を入れるのにいろいろやってみましたが、これが一番まちがいありません)
樹脂板の四隅を2~3mmくらいカットし面取りします。

(5)大きい円、小さい円、樹脂板(貼った方を下にする)の順に重ね、上からピンを押し、裏側で足を開きます。

(6)大円と小円の目盛りがずれていないことを確認してください。(ずれている場合は中心円がうまくあけられていないためです。大円と小円を動かして微調整ができればよいですが、そうでなければ作り直しです。)
図5

《計算のしかた》
製作の時にダウンロードしたPDFに掲載していますので参照してください。練習問題もつけておきました。

計算尺の計算結果は、有効数字3桁で読み取ることができます。しかし、位取りは出ませんので、問題の数の概算を考えて位取りをするという手間がかかります。たとえば、57.2×3.14= という問題では、計算尺は1.77という数字しか表示しません。位取りを考えるには、50×3=150 と考え、177 が答えだとするのです。
今の学生たちは電卓しか知らないので、こういう概算というものに慣れていませんので、けっこう苦労しています。でも、概算という考え方はとても重要だと思いますので、こういう体験も重要ではないかと考えています。

荻野和俊(大阪工業大学)

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