小林雅一:クラウドからAIへ~アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場,朝日新書(2013)
技術の評価と活用を考える上でも,ITの進化が私たちの生活や社会をどのように変えていくのかを知り,考える事は重要だと考えます。本書は,ITの今後の進化の核となるAIについて,その技術的背景や歴史的経緯,社会に与えるメリット,デメリットに関し,事例や資料を元にわかりやすく解説してくれています。
AIというとSF的なイメージが持たれがちですが,現在は実用化が急速に進み,多くの分野で活用が進んでいます。AI研究についても,初期のルールベースから,統計・確率ベース,ディープ・ラーニングを用いたニューラル・ネットワークへと研究が発展していく中で,ビックデータとの結びつきを強め,より商業化されている状況が概観されます。さらに,AIやロボットを議論すると出てくる「人間」対「機械」は,技術の評価・活用の上でも面白くかつ重要なテーマかと思います。
「人間が機械(システム)に依存し過ぎることで生じる危険性」や「人間が機械(システム)に雇用や存在価値を奪われることへの不安」などは,私たちが直面しつつある問題です。その上で,「ビックデータとAIを使って,どんな社会を作るべきか」,「”知性”の進路を定めるのが知性」という問いかけについて,ご自身のみならず,生徒と共に考えてみても面白いのではないかと思います。
投稿者:村松浩幸(信州大学)
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