2006:12:03


 

 上空に向け、多量の気体をどれほど強力に放出したところで竜巻になることはない。放出された瞬間に大気拡散へ向かう。回転に不可欠な向心力が発生する理由がないからである。
 浮力による上昇力を備える高温の気体であっても、上昇気流というだけでは気流の回転は起らない。
 羽根を使って強制的に回転させても自律的な回転を発生させることはできない。
 放出が無理であれば、上から吸引すればどうかと考えるしかない。
   掃除機の吸込口付近では、空気が強く引き寄せられる。これは向心力であるから、空気は吸い込まれながら回転する可能性がある。(浴槽の排水口にできる渦の原理と同じ)
 しかし、竜巻のように直立して回転する空気の柱はこのままでは出来そうにない。
 
       
   吸込口の下方にリングを設置し、それで絞った空気を吸引すればどうであろうか。リング直前で渦が発生し、そのまま直立する柱ができるであろうか。
 無理である。わざわざ抵抗が大きそうなポイントだけを選択して吸引することはありえない。吸込口を頂点とした円錐形をなす各方位から吸込口を直接目指し空気が殺到する。
   
     
   回転する空気の柱を作るにはリングではなく、筒を通して空気を吸い込む必要がある。つまりガイド管である。
 竜巻を再現していると称する器具は全てこれと同じ原理である。もちろんエアカーテンにより空気の筒を形成しているものも含まれる。
   
     
   自然界において上空の「掃除機」と竜巻を取り囲む「透明な筒」は発見されそうもない。校庭でたまに発生する塵旋風は竜巻・火災旋風 に比べスケールが小さく馴染みも深い。全貌は何度もビデオカメラで捕らえられている。塵旋風には「掃除機」と「透明な筒」が備わっていないのは明らかであ る。
 しかし、現に回転しているということは中心軸に向かってぎゅうぎゅう締め付ける(謎の)向心力が発生していることであり、向心力は回転にとって必須であることは現代の物理学が主張している。
   
     
   実験室においては、ろうそく3本を用いて竜巻・塵旋風を再現することができる。ろうそく3本を束にして直立させれば、その炎が環状 の暖気の供給源である。炎に囲まれた束の中心部は比較的冷気であり、極端に細くなる場合もあるが室内空気の通り道でもある。炎に向心力が働き、圧縮され収 束する。そして回転を余儀なくされる。もちろん「掃除機」と「透明な筒」は存在しないし必要もない。
(1)同じ長さの直径11ミリ程度のろうそく3本を輪ゴム等で束にし粘土上に立てる。
(2)はさみを使い芯の長さ、向きを整えて火をつける。芯の向きは少し中心向きに揃えたほうが良い。
 この現象は05年に発見され日本気象学会05年秋季大会で発表された。
   
 


投稿者:間瀬博文(日本気象学会会員)

  実際の実験の模様を撮影した動画です。  
  http://www.watchme.tv/v/?mid=a18aa23ee676d7f5ffb34cf16df3e08c
   

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