投稿日:2002/7/14


今時の子ども達は、分解の経験がほとんどありません。一つ一つの電気製品の仕組みを完全に理解するのはとても大変なこどですが、分解をしながら、どんな部品からつくられているかを体験的におさえるだけでも、子ども達は実に意欲的に学習に取り組みます。

  

 写真は、モノラルの旧式のラジカセと、ワープロを分解した写真です。いずれも廃品です。最近では中古屋さんなどで100円程度でジャンク品を入手 することもあります。1時間もあれば、ここまで分解できてしまいます。再生利用できる部品と、基板を除き残りが不燃ゴミになってしまうのが辛いところです が、元々廃品として処分されるような電気製品ばかり、ゴミ問題を考えるきっかけにもできるかもしれませんね。

    

 基板には、ハンダ付けで様々な部品が取り付けられています。最近はLISなどが多く部品を取ることができないほど細かい基板も多いのですが、電源回路などは、最近の電気製品でも、比較的簡単にハンダを溶かして部品を取ることができます。

    

 2つの方法を子ども達には教えます。一つはハンダ吸い取り線、もう一つはハンダ吸い取り器(スッポン)です。この学習の前にハンダ付けの練習をしている ので、ちょっと教えただけで問題なく使えてしまいます。4人班で2本のハンダゴテを用意して次々に電子部品をとらせていきます。30分ほどの時間でいくつ の電子部品を取り外せるか班競争です。部品とりの基板は他にも箱に入れてたくさん用意しておきます。

  

 ただ部品をはずして終わりではもったいないので、子ども達に電子部品を種類ごとに分類してもらいます。電子部品の働きまでは扱えませんが、いろいろな電子部品が使われていることだけは意識化できます。

      

 様々な分解すると、いろいろな再生部品がたまってきます。左上から、パソコンのメモリーやHD(説明用)、ファンやビデオのヘット、パソコンのマザーボード(説明用)、ラジカセから取り出したスピーカー、そして最後に様々なネジです。
 「情報とコンピュータ」の授業の中で、パソコンのHDを分解してみたり、マザーボードの中にCPUを探したりなんてこともできると思います。スピーカーやファンは実験や実習にも使えそうです。

★分解の授業の効能★
この分解の授業の後に、センサーライトというキット教材の組み立てを行っています。以前、この分解の授業していなかった頃には、なかなか完成しない子が多 く、他にも部品の取り付けを失敗して投げ出してしまう子や、ハンダ付けがうまくできず動作不良を起こしてしまう子が多く大変でした。この分解の授業で、電 気製品の中に組み込まれた基板(電子回路)と電子部品、そのハンダ付けを意識することで、子ども達は自然に理想的なハンダづけを身につけることができま す。不燃ゴミの処理は大変ですが、生徒達にとっては身近な電気の技術を体感するには欠かせない原体験になります。

関連情報★
 「分解」「電気製品」などの言葉を入れてインターネットで検索をかけてみると、様々な方々が身近な電気製品を分解されています。また、文部省の「情報機器と情報社会のしくみ素材集」なども、この分解の授業と絡めて扱うとおもしろいと思います。


投稿者: 川俣 純(茨城県)

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