ハイテク産業の最先端に,日本の伝統技術が活用・応用されている事例を多数紹介している。タイトルにあるのは和紙の紙すき技術から,ケータイの軽量化に貢献したアラミド紙の配線板話は冒頭で紹介されている。他にも銅鏡の魔鏡の原理がシリコンウエハーの検査技術に応用されているとか,製錬技術か金属リサイクル技術等,様々な内容が紹介されている。ガイダンスのネタとしても活用できるだろう。
住まいと環境作りの話では,五重塔の耐震性や宮大工,民家の構造などの紹介。これらは材料と加工の構造話などでも活用できるだろう。また,自然の力を引き出す知恵では,棚田の美や農民が書いた技術指導書,日本型バイオテクノロジー等,生物育成系の話で使えそうな話題も多い。どの記事も4ページにまとめられ,技術紹介をコンパクトなイラスト化もされているので,資料紹介としても活用できるのではないだろうか。
最後に本書の編集意図を前書きから引用。「本書が,明治以前の姿と現代を重ねてみたのもの,古いニッポンも私たちの目の目にしっかり生きていることを示したかったからだ。読者は,伝統の技も知恵も,人々がみずからの頭で考え,試行錯誤し失敗を恐れず挑戦することで生命が吹き込まれていることを知るだろう(p3)」
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