「工業概論」で、工業高校の機械系学科ではどんな勉強をするかという話をするのですが、話だけではつまらないだろうと簡単なものづくりをしています。
「紙トンボ」で流体力学を学ぼうというこじつけのような理由で、紙トンボを作らせています。製作にあたってはいくつかポイントがありますので、以下に紹介します。

図1

《材料
ケント紙(あるいは名刺の厚さくらいの紙)60mm×50mm
ヨウジ
厚紙 少々
0.5mmφポリウレタン線(エナメル線) 少々
速乾木工用ボンド
《作り方》
(1)ケント紙に図2のように作図し、切り取る。(破線は折り曲げ線である)
中心に千枚通しで1mmくらいの穴をあけておく。

 

図2

(2)ヨウジの尖端を図2のように少し削る。ねじれ止めのためである。

図3

(3)補強用の紙を作る。ボール紙(ダンボール紙ではない、厚手の紙)5×5mmの中央に、1.5mmほどの穴をあける。
学生用に大量に作る時は、1.5mmφのポンチであけるとよい。

図4

(4)補強用紙の穴にボンドをぬり、ヨウジにさす。(ボンド塗りには別のヨウジを使うとよい)
さしたら、補強用紙の上側にボンドをぬる。薄く均等にぬるとよい。

図5

(5)紙トンボの羽根をヨウジにさす。羽根は作図面を上にする。さす時に回してはいけない。ヨウジが指にささらないように注意する。

図6

(6)羽根の上面のヨウジのまわりにボンドを薄くぬる。

(7)補強用紙の穴にボンドをぬり、ヨウジにさす。しっかり押さえる。ヨウジと羽根が垂直になっているのを確認すること。

図7

(8)ヨウジの尖端をニッパで切る。5分ほどでボンドは乾くので、それまでは触れないで待つこと。

(9)ヨウジの末端のくぼみにポリウレタン線を1~2周巻きつけ、ニッパで切る。指にささらないように末端処理をすること。
これは羽根とヨウジのバランスが悪いため、重しの役目をはたします。

(10)まず、そのまま何もせず飛ばしてみる。うまく飛ばないことを確認。

(11)羽根の破線にそって、羽根を上向きに20~30度ほど曲げ飛ばす。
あとは、羽根のあちこちをいじってみて、一番良く飛ぶように改良する。

この紙トンボは右周りに回すと飛ぶようになっています。ですから右利きの人はやりやすいと思います。左回りで飛ぶようにするには、図面を鏡面にすればよい。以前やったときには、羽根とヨウジの接着が不十分でねじ切れてしまうのです。そこで今回は補強用に紙で羽根を重ねるようにしました。接着面積が増えるので、回した時にねじ切れることはなくなりました。

学生の反応は意外と好評で、作成後、ほとんどの学生が持って帰りました。

【参考文献】
松本修身『より高く・より遠くへ! 作ろう・飛ばそう 竹とんぼ』パワー社、2005.5、1600円+税、P15~19
この本では「指パッチンとんぼ」という名称で紹介されている。


荻野和俊(大阪工業大学)

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